海外FXの損失は確定申告する?繰越控除や申告した方が良い場合について解説

ともや

海外FXの損失は確定申告しないでいいって本当?どんな時に海外FXの損失を確定申告したほうが良いケースについて教えてほしい。

海外FXで損失を出した場合、基本的に確定申告は必要ありません。

しかし、状況によっては確定申告をすることで大きな節税メリットを得られるケースがあるのです。たとえば、キャッシュバックボーナスやスワップポイントなどで収益が発生した場合や、他の雑所得と損益通算できる場合には、確定申告が節税のカギとなります。

この記事では、「損失が出た年でも確定申告をした方が得になる具体的なケース」や、「損益通算の活用法」「繰越控除の可否」など、海外FXの損失を最大限に活かすためのポイントを徹底解説します。


「損した年こそ申告で得をする」――そんな賢い選択肢を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること

海外FXに関する税金についてより詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。

目次

海外FXの損失は確定申告しないで大丈夫!

海外FXの損失は確定申告しないで大丈夫だが2点に注意

海外FXの取引が1年を通して損失を出している場合、確定申告の必要はありません。

りゅういち

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得に対して納税額を申告する手続きのことです。

ただし、海外FXには取引以外にも収益が発生してしまうケースが存在します。

以下のケースの場合、海外FXの収益が発生してしまうため、年間で損失を出している場合でも、確定申告が必要になります。

海外FXのキャッシュバックボーナスには要注意

海外FXのボーナスについての課税に関する画像

海外FXのボーナスには確定申告が必要になるケースがあります。

海外FXのボーナスには3種類存在します。

キャッシュバックボーナスで利益を出している場合は確定申告が必要となるので注意が必要です。

キャッシュバックボーナス

海外FXには多くのキャッシュバックボーナスが存在します。キャッシュバックボーナスとは、現金をもらえるボーナスキャンペーンです。

キャッシュバックボーナスは雑所得に分類されるので、海外FXの取引で損失が発生していてもボーナスで利益を出している場合は、確定申告を行わなければならないケースがあります。

キャッシュバックボーナスなどの所得額が以下の上限を超えると税金が発生します。

税金が発生する所得額
  • サラリーマンの場合:年間所得20万円以上
  • 個人事業主や専業主婦の場合:年間48万円以上

具体的な海外FXのキャッシュバックボーナスとしては以下のようなものがあげられます。

海外FXのキャッシュバックボーナスの例
  • ロイヤリティポイントの換金
  • 抽選式のキャッシュバック
  • トレードコンテストの賞金
  • お友達紹介キャンペーン

口座開設ボーナス

口座開設ボーナスは一時所得に分類されます。

一時所得は年間50万円までは確定申告する必要はありません。

入金ボーナス

入金ボーナスのような、出金はできないが取引にだけ使えるボーナスは、非課税と捉えられるケースが多いです。(税理士により見解は異なる)

ただし、入金ボーナスを利用して出した利益に対しては課税されます。

りゅういち

税金が発生するタイミングはポジション決済時です。ポジションを保有している間はいくら含み益が出ても課税されません。

つまり、確定申告が必要なのは、キャッシュバックボーナスだけであるケースが多いです。

海外FXのスワップポイントにも警戒が必要

海外FX・国内FXのスワップポイントの課税について

スワップポイントに関しても注意が必要ですが、海外FXを利用しているだけならば課税されることは稀です。

しかし、国内FXを利用している場合は、スワップポイントの出金システムの違いによって税金が発生するケースもあるので確認しておく必要があります。

FX業者のスワップポイントの反映システムには2つのパターンが考えられます。

スワップポイント反映システムの2つのパターン
  1. ポジションを決済したときにスワップポイントも口座に反映されるシステム
  2. 証券口座に即時反映されスワップポイントだけを出金できるシステム
りゅういち

スワップポイントが出金可能なのか、あるいはポジションを決済しないとスワップポイントが出金できないのかの違いと考えると分かりやすいです。

1のケースは問題ありません。スワップポイントも含み益として捉えられ、ポジションが決済されるまでは課税されません。海外FX業者の場合は、ほぼすべての業者が1のケースです。

しかし、海外FXのサービスは多種多様であり多岐に渡っているため、直接業者に確認することをおすすめします。

2のケースの場合は、利益を出しているとみなされ課税されます。国内FX業者の中には2のケースでスワップポイントが出金できる業者もあるので注意が必要です。

海外FXの損失は、損益通算できる時確定申告したほうがいい

海外FXの損失で申告したが方が良い場合を3つ紹介

海外FXの損失は基本的に確定申告する必要はありません。しかし、確定申告したほうが得になるケースがあります。

それが、損益通算という節税制度です。海外FXで損失を出した場合で損益通算が可能な場合は、忘れずに確定申告することをおすすめします。

海外FXの損益通算について、以下の項目からさらに詳しく解説します。

海外FXで損益通算できるケース

損益通算とは、様々な事業の収益の合計所得を計算し、税金を計算するという節税制度です。

例えば、海外FXで70万円の損失を出して、アフィリエイトで200万円の収益を出したとしましょう。

海外FXとアフィリエイトは雑所得に分類され、損益通算が可能です。つまり、以下のような合計所得の計算が成り立つのです。

海外FXの損益通算の計算例

アフィリエイト200万円の利益-海外FX70万円の損失=合計所得130万円

合計所得である130万円が課税対象となります。

とても、お得に節税できたことが分かります。次に気になるのは、海外FXはアフィリエイト以外のどんな雑所得と損益通算ができるかです。

当てはまっている雑所得があれば、海外FXの損失を節税に使えます。

海外FXと損益通算できる雑所得
  • 他の海外FX
  • 印税
  • 講演料
  • アフィリエイト収入
  • ネットオークション
  • 仮想通貨
  • 公的年金の雑所得
りゅういち

国民年金・厚生年金・企業年金も雑所得に当たるため、海外FXの損失が出た場合は、損益通算できます。

国内FXと海外FXは損益通算ができません。また、国内FXと海外FXは損益通算できる課税区分も異なります。

海外FXの損益通算でどのくらい節税が可能か?

具体的に海外FXの損益通算でどのくらいの節税が可能なのか気になる人も多いと思います。

海外FXの損益通算による節税効果は非常に大きいです。理由は、海外FXなどの雑所得は累進課税が適用されるためです。

以下の表と照らし合わせつつ、具体的な海外FXの損益通算の計算例を解説します。

課税される所得金額税率(住民税込み)控除額
1,000円 から 194万9,000円まで15%0円
195万円 から 329万9,000円まで20%97,500円
330万円 から 694万9,000円まで30%427,500円
695万円 から 899万9,000円まで33%636,000円
900万円 から 1799万9,000円まで43%1,536,000円
1800万円 から 3999万9,000円まで50%2,796,000円
4000万円 以上55%4,796,000円
海外FXの累進課税税率一覧表
りゅういち

税率が変化する節目を狙って損益通算をすれば、かなりの節税が可能です。

以下の条件で具体的に損益通算するとどのくらいお得になるのか計算します。

海外FXの損益通算の具体的な計算例

  • 海外FXの損失:70万円
  • アフィリエイトの収入:200万円
  • 合計所得:200万円-70万円=130万円

アフィリエイトの収入200万円から70万円を差し引くと、合計所得は130万円になります。

簡略化した税金の計算例は以下の通りです。

海外FXと損益通算した場合のシミュレーション

  • 合計所得:130万円
  • 所得税:130万円×5%=6万5,000円
  • 住民税:130万円×10%=13万円
  • 合計税金:19万5,000円
  • 可処分所得:180万5,000円
りゅういち

海外FXの損失を申告したおかげで税率が変化し、大きく節税できました。

もし、損益通算しなかった場合はどうなるのでしょうか?以下のような簡略した税金の税金例のようになります。

海外FXと損益通算しなかった場合のシミュレーション

  • 合計所得:200万円
  • 所得税:200万円×10%=20万円
  • 住民税:200万円×10%=20万円
  • 合計税金:40万円
  • 可処分所得:160万円
りゅういち

損益通算しなかった場合は、約20万円も可処分所得が減っています。所得税率も5%から10%に大幅に上昇しています。

海外FXで収益が出てしまっても経費計上で節税が可能

仮に損失ではなく収益が発生してしまった場合でも、必要経費を計上すれば節税ことができます。

りゅういち

経費とは、海外FXを行うために買ったパソコンやトレードをする際に使った家賃や光熱費などです。

経費計上をすれば、「収入」から経費を引いた「所得」に対して税金がかかることになります。

FXで考えられる経費の例
  • トレードに使用するパソコン、携帯端末の購入料金
  • トレードに必要なプロバイダー料金、電話料金などの通信費
  • 関連書籍・新聞図書費セミナー料・交通費
  • 海外送金手数料
  • 家賃・光熱費など(家事按分は必要)

あくまでも海外FXを行うのに使ったであろう経費のみが経費として計算されます。

例えば、海外FX以外でパソコンを使っていたりするケースや、家賃・光熱費などは全て経費になるわけではありません。

また、パソコンなどが10万円以上した場合減価償却が適用され、一括で経費計上できないケースがあります。

海外FXの損失が損益通算できないもの

海外FXの損失が損益通算できないものは国内FXの利益など

海外FXの損失は、他の所得と損益通算できない場合があるため注意が必要です。以下では、海外FXの損失が損益通算できないものを3つ紹介しています。

国内FXの利益

国内FXで得た利益は、海外FXで生じた損失と損益通算することができません。国内FXの利益は申告分離課税により一律約20%(所得税15%+住民税5%)の税率で課税されます。

一方、海外FXは雑所得として総合課税され、他の所得と合算されるため、所得が増えるほど税率が上がり最大で45%にも達します。国内FXと海外FXは課税方式が異なるため、損益通算ができません。

つまり、海外FXで損失が出ても、国内FXの利益と相殺できず、国内FXの利益にはそのまま課税されるため、税負担が大きくなることがあります。

事業所得

また事業所得と海外FXで発生した損失も、損益通算の対象外となります。

海外FXの利益や損失は原則「雑所得」として扱われ、事業所得とは異なる区分です。たとえば、個人事業主が本業のビジネスで利益を上げて事業所得がプラスでも、海外FXで出した損失を差し引けません。

事業所得に対する税金はそのまま課税され、海外FXの損失を税務上活用できない不利な状況が生まれます。収入が複数ある場合は、所得区分に十分注意が必要です。

給与所得

給与所得と海外FXの所得はともに総合課税対象ですが、所得区分が異なるため損益通算はできません。

給与所得は「給与所得」、海外FXは「雑所得」に分類されるため、たとえ海外FXで大きな損失が出ても、給与所得の課税所得を減らすことはできません。

そのため海外FXでの損失は実質的に無駄になる可能性があり、節税効果が期待できません。複数の所得源がある場合は、それぞれの所得区分と課税方式の違いを理解することが重要です。

海外FXの損失は繰越控除ができない

海外FXの損失は繰越控除できないので注意が必要です。

りゅういち

繰越控除とは、その年に発生した合計所得の損失を翌年以降の利益から控除できる制度です。

繰越控除の例

  • FXの損失:70万円
  • 損益通算後の合計所得:70万円の損失
  • 繰越控除:翌年以降の利益から70万円控除
  • 控除額の上限:上限なし
  • 繰越控除の期間:3年間

海外FXは繰越控除は行えませんが、国内FXの場合は3年の繰越控除が認められています。

海外FXの損失の繰越控除の4ステップ

繰越控除の手順は以下の通りです。

STEP
その年の損益通算を行う
STEP
損益通算で損失が出た場合は繰越控除が可能
STEP
期間は3年間
STEP
翌年以降の3年以内に利益が出ていれば繰越控除が可能

具体例としては以下の通りです。

繰越控除のシミュレーション

  • 1年目】FXで100万円の損失
    【課税状態】赤字のため課税なし
  • 2年目】FXで20万円の収益
    【課税状態】1年目の繰越控除により合計所得は0円となり課税なし
    【繰越控除の残額】今回で20万円の繰越控除を使い、残り80万円
  • 3年目】FXで40万円の収益
    【課税状態】1年目の繰越控除により合計所得は0円となり課税なし
    【繰越控除の残額】今回で40万円の繰越控除を使い、残り40万円
  • 4年目】FXで50万円の収益
    【課税状態】1年目の繰越控除により合計所得は10万円となり、10万円が課税対象
    【繰越控除の残額】残額なし
    【繰越控除の期間】1年目の損失による繰越控除期間は終了

国内FXは「先物取引に係る雑所得など」という税区分に分類されており、以下のようなものが損益通算できます。

国内FXの損益通算の対象の例
  • 現物先物取引
  • 現金決済型先物取引
  • 商品指数先物取引
  • 商品オプション取引
  • 商品の実物取引のオプション取引 など
りゅういち

海外FXと国内FXの損益通算の区分を比べると、海外FXのほうが幅広い事業と損益通算が行えることが分かります。

海外FXの損失、確定申告に関するよくある質問

海外FXの損失、確定申告に関するよくある質問を回答します。

海外FXの損失を確定申告する必要はありませんか?

海外FXの損失は確定申告する必要はありません。ただし、キャッシュバックボーナスを獲得した場合は、一定額以上で確定申告を行う必要があります。

海外FXの損失を確定申告したほうが良いケースはありますか?

損益通算できる場合は、海外FXの損失を確定申告すれば節税になります。

海外FXと損益通算できる雑所得は何がありますか?

他の海外FX・印税講演料・アフィリエイト収入・ネットオークション・仮想通貨公的年金の雑所得などと損益通算が可能です。

海外FXは繰越控除できますか?

海外FXは繰越控除できません。しかし、国内FXの場合は3年間の繰越控除が行えます。

損益通算ができるなら海外FXの損失は確定申告しよう

損益通算ができるなら海外FXの損失は確定申告しよう

海外FXの損失の確定申告について、本記事では海外FXの損失に関する確定申告のポイントや、繰越控除、損益通算の活用法について解説してきました。

海外FXで損失が発生した場合、確定申告を行わなくても問題ありませんが、他の所得と損益通算できるケースでは申告することで大幅な節税が可能です。

また、キャッシュバックボーナスやスワップポイントなど、特定の収益が発生した場合は確定申告が必要になることがあります。海外FXの税務処理は国内FXと異なるため、しっかりと理解し、最適な対応を取ることが重要です。

この記事でわかること
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